ふるさと納税の返礼品について

こんにちは。
相談役・税理士の池田茂雄です。

今回は、「ふるさと納税返礼品」について述べてみます。

 総務省はかねてから、「ふるさと納税」による寄付金に対す返礼品について、寄付金額の3割以下とするよう各自治体に通知してきた。また、返礼品は地場産品とするよう通知してきた。しかしながら、依然として対応を改めない自治体があることが問題となっていた。そこで、今回、総務省は返礼品に関する実態調査を行ない、その結果を公表した。それによると、返礼品の割合が3割をこえている自治体は「246市町村」、地場産品でない品物を返礼品としている自治体は「190市村町」となっていることが判明した。
 総務省は強制力のない通知では限界があるとして、より強い措置の検討を始めた。その内容は、通知を守らない自治体を「ふるさと納税」の対象から除外し、寄付者がこれらの自治体に寄付をしても、住民税などの控除を受けられないようにする方向で検討に入った。来年の通常国会に地方税法改正案を提出し、早ければ4月からの適用を目指すということです。

 この「ふるさと納税制度」とは、自分の生まれ育った「ふるさと」など応援したい自治体に寄付をすることである。この寄付をすると寄付金額から2,000円を差し引いた額が、確定申告することにより控除され、所得税と個人住民税が減額される仕組みとなっている制度である。
 この制度は、地方の活性化を図るため2008年(平成20年)に導入された制度である。自分のふるさとなど任意の自治体に寄付をすることで、国に納める所得税と本人が住んでいる自治体に納める個人住民税が減額されることとなるが、寄付を受けた自治体には寄付金が収入として入るため、都市部から地方への税収移転となり、寄付者の心が通った地方の活性化対策として導入されたものである。ところが、このふるさと納税に対し制度の趣旨がゆがめられているのではないかとの声が高まりをみせてきた。ふるさと納税のお礼にその地域の特産品を贈る自治体が多いなかで、寄付を集めようと過熱する自治体が、今後もより多くの寄付金を期待して寄付者にお礼のお返しとして、高価な品物や、なかには商品券など換金性の高い返礼品を贈るなど不適切なケースが目に付くようになっている。このため、国サイドでは「趣旨に反するような返礼品は自粛するよう」注意を促しているが、強制力はなく自治体任せといった状態である。また、地域の行政サービスは、サービスを受ける住民が税金を負担するという受益者負担の原則があるが、このように過度な返礼品を用意して寄付金を期待する自治体があらわれると、この原則が崩れてしまうのではないかというリスクにも直面している。今後の成りゆきを見守りたいと思います。
 ここで、寄付をすることにより減額される税金はいくらになるかについてふれてみます。前述の寄付金額から2,000円を差し引いた額が控除されることとなるが、課税される税率は、所得税が最低5%から所得金額に応じて最高45%となっており、個人住民税は一律10%となっている。このため、各人の所得金額により減額される税額も異なることとなる。ただし、控除金額は各人の所得金額により上限があるため注意が必要である。

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