ふるさと納税の返礼品・自治体に波紋

こんにちは。
相談役・税理士の池田茂雄です。

今回は、「ふるさと納税の返礼品・自治体に波紋」と題して述べてみます。

「ふるさと納税」ご存知ですか。生まれ故郷など支援したい自治体に寄付をすることです。確定申告をすることで、ほぼ同額が住民税などから減額され、負担額は実質ゼロにちかくなる制度です。
 寄付を受けた自治体は、お礼として地場産品などを返礼品としています。ところが、今後のことも考えてか、高価な品物や、なかには商品券など換金性の高い返礼品がでるなど、不適切なケースが目につくようになってきた。そこで総務省は、寄付に対する返礼品は寄付額の3割以下で、地場産品とするよう各自治体に自粛を促すべく通知を出した。しかしながら、依然として対応を改めない自治体があるため、強制力のない通知では限界があるとして、より強い措置とすべく今年1月からの通常国会で地方税法が改正され、今回、6月1日から改正後の規定による新制度がスタートした。
新制度では、「返礼品は寄付額の3割以内で、品物は地場産品に限定する」こととなった。また、この制度による税制上の優遇措置を受けるには、各自治体は事前に適用申請をし、総務省の認可を受けることとなった。東京都以外の全国の自治体からこの申請があったが、「泉佐野市など4自治体」については、新制度の適用から除外された。除外の理由は、過度な返礼品の提供自粛を求めた総務省の通知を無視したことなどであった。この制度は、自分の生まれ育ったふるさとを応援したいとの思いが叶う税制上の優遇措置として、2008年(平成20年)にスタートした制度である。ところが、本来の趣旨から外れた方向が見受けられるようになったため、今回の対応となった。
 適用を除外された「泉佐野市」は、それを不服として総務省の第3者機関である「国地方係争処理委員会」に提訴した。今回、同委員会は総務大臣に対して、「新制度から泉佐野市を除外した決定を再検討するよう」勧告した。理由は、「新制度が施行される以前に、制度の趣旨に反する方法で多額の寄付を集めたことを不認可の理由とすべきではない」と判断した。同委員会は新制度適用除外の是非についての判断まではせず、再検討を求めるにとどめた。ただ、ふるさと納税制度の存続が危ぶまれる状況を招いたことを受け、総務省は何らかの形で是正を求めるべき事情があったとも指摘した。
今回、新制度による適用が除外された自治体は、大阪府泉佐野市・和歌山県高野町・静岡県小山町・佐賀県みやき町の4自治体である。
今後の状況を見守りたい。

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