食料品等に対する消費税の軽減税率について

こんにちは。所長の池田茂雄です。

今回は消費税の軽減税率についてお話します。

(1) 逆進性への対応
消費税は、消費水準に応じて比例的に税負担を求めることができ、その面においては公平性を有する半面、所得に対する税負担割合は逆進的となるという問題点が指摘されている。
そこで、この逆進性への対応策として食料品等生活必需品に対する軽減税率の導入問題が議論されている。この軽減税率の導入は、相対的な税負担割合を緩和するという効果は認められるものの、高所得者層ほど軽減額が多くなるなど効率性の観点からは疑問の声もあり、逆進性対策としては有効ではないとも言われている。対象となる食料品の具体的な範囲の問題、中小事業者に対する特例措置である簡易課税制度など他の制度に与える影響、事業者の事務負担の増大問題、税務執行面に及ぼす影響などなど問題点も多く、税制の基本原則である簡素性に対する大きな阻害要因でもある。こうした様々な問題点を勘案すれば、軽減税率制度の導入は経済的合理性の観点から見て、将来的に二桁税率となった場合でも可能な限り単一税率を維持すべきではないかとの声も多い。
与党税制協議会(座長=野田毅 衆議院議員)による関係業界団体に対するヒアリングが現在行われているところであるが、賛否両論で意見には開きがあるとも言われている。今後の動向に注目したい。

(2) そのような中で、「日本税理士会連合会」が、「平成26年7月24日(木)・日本経済新聞」に次のような意見表明を行った。

「消費税の単一税率維持を提言し、次の理由により軽減税率制度は導入すべきではありません」

①軽減税率により税収が減少すると財政再建が損なわれることとなり、税収を補てんするために、標準税率をさらに引き上げるか、社会保障給付を抑制等することが必要となります。

②軽減税率による税収減収額のうち、低所得者世帯に効果が及ぶ軽減税額は限定的であり、大部分は低所得者世帯以外の世帯に対する軽減税額となり、低所得者に対する負担軽減策としてはきわめて効率の悪い制度です。

③軽減税率の適用範囲を合理的に設定することはきわめて困難(特に、軽減税率対象品目から高級食材・嗜好品を除く場合など)であるとともに、その適用の判断に際して、納税義務者の事務が複雑となり、徴税コスト等も増大します。

④ヨーロッパ諸国において軽減税率の適用に関する訴訟が非常に多いことが指摘されています。軽減税率の適用範囲の是否認を巡り、わが国においても税務訴訟等が増加し、社会的コストの増大を招くと予想されます。

⑤インボイス制度の導入(別途のインボイスを発行する場合と、請求書等の書類に標準税率と軽減税率に係る必要項目を追加的に記載する場合等が考えられます。)が必要となり、納税義務者の事務負担が増大します。特に、二段階での税率引き上げに旧税率の経過措置が加わり、さらに軽減税率が導入されると、実務上混乱が生じることは避けられません。

⑥軽減税率が導入された場合、現行の簡易課税制度を合理的な制度として存続させようとすると、事業区分の細分化等が必要となり、複雑な課税制度となってしまいます。

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